専門化のパラドクス
毎年日商簿記1級の合格発表時期になると、商業科の高校生が合格したという記事が飛び交う。
コロナ禍のせいか気のせいか、今年は特に多いと感じる。いずれにしろ合格率10%の難関。おめでとうございます。
ところで、ある合格者がインタビューの中で以下のような発言をしている。
「普通科で化学や物理、難しい数学を勉強しても将来に結び付かない。」「将来は公認会計士を目指している。」
いくら高校生とは言え、疎ましさを感じずにはいられない。普通科の生徒を見下すようなニュアンスすら汲み取れる。
確かに会計士受験上も、会計監査実務上も、普通科で学ぶことは役に立たない。
しかし、小中高と普通科の勉強をきっちりとやってきた人は"格"が違う。僕自身それを疎かにしてきたからわかる。
そして専門家を専門家たらしめるのは、専門性ではなくこの"格"だと思う。"核"と言っても良いかもしれない。
これを蔑ろにして専門知識だけ勉強しても、専門家ではなく専門馬鹿になるだけだ。
専門化がかえって専門家を遠ざけるという滑稽ぶりである。
幅広い教養を備えた有識者になりたい。そんな自戒の念も込めて最初の投稿とする。